光害フィルタの2大巨頭(ほんとかいな。)のIDAS LPS-P2とAstronomik CLS-CCD(以下、CLSと省略) どっちを使えばいいの? どっちが性能が上?
本当なら、実際の夜空を写して比較してみたいのですが、よい比較方法が思いつかないのです。
光害カブリの部分と、そうでない暗い部分との比でそれぞれ比較してみるとか・・・・。
なんかいい方法がないですかね?
さて、とりあえず、フィルターの分光特性を確かめてみました。
かたくちいわしさんのブログ記事にもありましたが、それぞれの分光特性のグラフはこのようになってます。(グラフの横軸が違いますので注意)

LPS-P2

Astronomik CLS-CCD
LPS-P2は水銀灯の輝線を選択的にマスクするように細かく区切ってバンドパスフィルターが設計されているようです。
かたや、CLSのほうは、細かく区切ることなしにバッサリとマスクするようになっているようです。
両方とも、Hα、Hβ、O3輝線は透過するようになっています。
で、本当にそうなっているのでしょうか?
分光器で確かめて見ましたら、面白い結果に!
分光器は何十万円もするので、簡易式の分光器です。なので、正確なものではありませんので、悪しからず。
以前の記事でも紹介しました。ずっと前に大学の授業で製作した要らないCDを使った分光器です。
15分で簡単につくれます。型紙はここ。
これが役に立つ時が来ようとは・・・。(^ν^)

こんな感じで、光害フィルターをスリットの前に貼り付けて。。
iPhoneのカメラで撮影しています。

基本、眼視用なので、ピントが合いませんが、雰囲気はつかめます。
以下、スペクトル画像をPhotoshopで切り出しています。

まずは、太陽光ではどうでしょうか。
余談ですが、連続スペクトルの中にフラウンホーファー線という暗線があるハズなのですが、うっすらとしか見えませんね。
LPS-P2が選択的にマスクしているのがよくわかります。
CLSも緑からオレンジにかけてバッサリマスクされているのがよくわかります。これはカラーバランスに影響がありそうです。

続いて、LED電球を分光してみました。
端から端まで連続スペクトルになっていて、非常に太陽光に近いですね。びっくりです。
光害フィルタでも太陽光の時の結果と同じです。

面白いのが蛍光灯。
矢印↓で示したところに非常に強い輝線が見えます。この強い3〜4本の輝線でもって白色の光を生み出しているのでしょう。街灯の水銀灯も同じ原理です。
で、LPS-P2は右のオレンジの輝線がマスクできていません。つまり輝線を透過させてしまっています。
他の2本の輝線でも漏れが見られます。(これは実験環境が悪いかも)
CLSはそのあたりの波長はバッサリとカットしていますので、光害的には無問題。が、緑からオレンジの波長帯は失われてしまいます。

LPS-P2の、カラーバランスを犠牲にすることなく光害をカットするという設計思想はよいのですが、どの輝線で水銀灯が光っているのかは、水銀灯それぞれで違うでしょうから、このように、マスク領域をハズしてしまうことも多少なりともあるでしょう。
CLSの場合は強力に光害をカットしてくれますが、緑からオレンジにかけて、失われるものも少なくありません。
また、最近増えているLED照明については、どちらのフィルターも無力です。マスク領域の多いCLSが多少有利でしょうか。
それぞれ一長一短というところです。光害カットをとるか、カラーバランスをとるか各人のお好みで。
スペクトルだけに玉虫色の決着になりました。
なんちゃって。(^ω^)
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